生命を踏む

深かったのである。

何年振りかはわからないが、久しぶりに芝生の上を歩いたらその深さに驚いた。

 

一歩。

二歩。

三歩。

なんなら四歩目以降も驚きが続いた。

 

普段アスファルトやコンクリート等の上を歩いていたから。

その時革靴を履いていたから。

歩き疲れていたから。

なおさら芝生の深さに驚かされたのかもしれない。

 

深いというか柔らかいというか。ふかふか。

 

人工物の上を歩いているときには感じないことだ。

人工物は硬く、薄く、平面的。

対して芝生は柔らかく、厚く、立体的であった。

 

砂浜、泥、芝生、草地、砂利。

自然には踏み心地の異なるものがたくさんある。

それぞれに良さがある。

 

最後にこれらの上を歩いたのはいつだろうか。

 

また歩きに行きたい。今度はできれば裸足で。